Honda ELYSIUM in TOKYO MOTOR SHOW 2001

   
迫力十分なフロントビュー

 ホンダが量産車初の全天候型2輪車であるキャビーナを世に送り出して数年が経った。
 それから今に至るまでの間、全天候型2輪業界(?)がめまぐるしい変化を見せていたのは、 BMW C1、ベネリ・アディヴァといった海外のメーカーによって、 より進化したモデルの登場ですでに明らかだ。

 つまり、キャビーナの登場は文字通り、2輪車のカテゴリに一石を投じる大事件だった事が伺える。
 そして2001年第35回東京モーターショウに参考出品されたこのエリシオンもまた、 今までの全天候型2輪車とも全く異なる方向性を示してくれる特異な乗り物なのであった。

 エリシオンはキャビーナで培った屋根付き2輪のノウハウが随所に散りばめられているが、 その風貌からは、あくまでもバイクの延長線上の乗り物である事をありありと感じる事ができる。 バイクにルーフを持ち込む勇気も素晴らしいが、実際に形にしてきたホンダは賞賛に値する。

 キャビーナのオーナーとしては、確かにエリシオンは意識しないではいられない乗り物だ。 エリシオンとキャビーナを比較してしまいたくなるのも仕方のない事だと思う。 では、一体どちらが優れているというのだろう?

ルーフの流麗なラインに注目!
ここから見ると宇宙人顔?

 エリシオンもキャビーナも、つまるところ共通するのは”屋根付き”なのだが、 ここで明確にしておかなければならないのは、エリシオンはより快適な長距離ツーリングの手段として、 キャビーナはコミュータの必然としてルーフを装備した事である。

 ルーフを装備する理由が異なるのだから、目的も異なって当然だ。 ただ結果として雨風がしのげるというだけで、2台を同じ土俵には簡単に持ち込めないのである。 それは雨の日に大型のゆったりした傘か、あるいはフットワークの軽い扱いやすい傘を選ぶのに似ているのかもしれない。

 つまり雨の日(と晴れの日)をのんびりと楽しみたいのであれば、エリシオンに軍配が上がる。 しかしより行動的に飛び回りたいのであれば、それはキャビーナでしか実現できないのである。 後はどうやって雨の日を過ごすか・・・そう、すべては傘を取るあなたの手に委ねられているのだ。

 是非ホンダにはエリシオン(と、キャビーナ後継車)の市販化を望みたい。
 ・・・そりゃそうだ。選ぶ傘は多い方がいいに決まってる。


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